行って感じた,カンボジア②

2015年6月16日 11:52 

 法を支えるのは人材

 

 今回私たちは,カンボジア王立法律経済大学内にある名古屋大学日本法教育センターにもお邪魔させていただきました。同センターでは,25名程度の同大学の学生さんが,日本語で,日本の歴史だったり,憲法などの基礎法だったりを学んでいるそうです。これも法整備支援の一環に位置づけられる重要な活動です。

詳しくは,こちら

 

想像はしていましたが,実際に行ってみるとビックリします。日本語で,会話は勿論,法律の講義をしても通じる訳ですから。訪問団からは,日本の労働法講義を提供しました。もちろん日本語で。ちょっと難しい内容でしたが,学生は皆熱心に聞いてくれました。こういう学生さんの姿を見ていると,それに比べて自分の学生生活はと反省しますね。今の日本の学生さん達は大丈夫でしょうか。

 

さてさて,学生の構成比は圧倒的に女性が多かったです。どこの国でも外国法(語)に興味を持つのは女性が多い?のでしょうか。そして,講義の終わりに,学生さん達に将来何になりたいか聞いてみたのです。外交官,通訳、検察官,裁判官、商社マン…いろいろありましたが,印象的だったのは,「首相になりたい」という女性が2人もいたことです。日本だとこういう発言をすると次の日からあだ名が首相か大臣になりそうですね。

とにかくこれは素晴らしいことだと思いました。日本では女性の首相はまだいないので,是非,日本よりも先に女性の首相になって下さいと伝えてきました。

 

それともう一つ印象的だったのは,弁護士になりたいと言った学生さんがいなかったことです。これは私たちにとってはとても残念なことでした。これはいろいろな理由があるようですが,一つは,カンボジアにおいて弁護士になるのはとてもお金がかかるというのです(この問題はまた次回以降)。

また,法律学者になりたいという学生もいなかったかと思います。新たな民法・民事訴訟法が制定されて,次は,メイド・イン・カンボジアの解釈学を発展させていかなければならないときですから,その担い手である法律学者がセンターの中から出てくればいいなと感じました。

 

最後に,私は,カンボジアの法律学が,日本の明治期にあたることになぞらえて「Boys and Girls,be ambitious!」って言い放って去ろうか思ったのですが,流石に自分は何様だろう?と思って止めてきました。

むしろ,この学生たちと競争できるよう勉強せねばと,反省するのでした。

 

 つづく


 弁護士 金井  健


 カンボジアの人は日本人に比べても華奢で小さい人が多いので,大学生がとても幼く見えます。