福祉関係者と弁護士の連携体制について⑯

~地域包括ケアシステム~

板橋俊幸 2015年6月25日 16:30

 弁護士板橋です。
 昨年に引き続き,一般社団法人群馬県介護支援専門員協会主催の「ケアマネジメント群馬フォーラムXⅡ 皆で築こう地域包括ケアシステム-ケアマネは何をすべきか-」へ参加して参りました。

 公開講座として,国が進めている地域包括ケアシステムについて,群馬県健康福祉部医療介護局地域包括ケア推進室室長の武藤幸夫氏から群馬県の取り組み等について講演がありました。
 正直な感想として,システムの必要性はよく分かりましたが,群馬県の将来ビジョンについては,抽象的でよく分かりませんでした。群馬県には,県民のためにぜひとも頑張っていただきたいところです。

厚労省HP参照

 もう一つ,公開講座として,千葉県柏市の先進的な取り組み「柏プロジェクト・柏モデル」について,柏市医師会の古田達之医師より講演がありました。
 数年間に渡る具体的な取り組みとして,システム構築方法,行政・医療・介護の連携方法,市民啓発方法についての紹介があり,「流石」と思う反面,「相当大変だな」との感想を持ちました。また,行政と医師会の強力なタッグがあって初めて成り立つのではないかとも思ってしまいました。群馬県内でもぜひ,同様の動きがあればと思います。

 午後は,ワールドカフェスタイルにより,地域包括ケアシステムを構築するために,個々の参加者が何を出来るか?について話し合いがなされました。基礎資格の異なるケアマネさん達から様々な意見が出ましたが,共通していたのが,「医師との連携(必要性が高いが実現困難)」ということでした。

 高齢者を取り巻く医療・介護業界は,多職種・多事業所が関わります。関わりを持つ方々の顔が見え,スムーズな連携が図れることが,高齢者本人の快適な生活には非常に重要であると強く感じました。そして,連携にはまだまだハードルが高く課題が多いことも分かりました。

 多職種による連携を可能にするには,どのようなシステムを構築するのかという問題も重要ですが,現実的には,相互に顔が見え,相互の職種の理解が進み,相互の人となりが分かること,というアナログ的な側面が非常に重要ではないかと感じています。

 また,連携と取るためには,多職種が相互にフラットな関係を構築できなければなりません。高齢者ご本人に関わる方々が,高齢者ご本人に纏わる有益な情報の共有ができることが望ましいでしょう(個人情報保護の問題は生じますので,弁護士の出番でしょう)。

 2年連続で参加してみて,この1年間にケアマネさんの知り合いが増えたことを実感しました。地道ですが,それぞれの専門職種の方々が,少しずつ世界を広げて行き,連携を深めていくことが大切ではないでしょうか。

 自戒を込めて…
 まずは,できることから行動に移しましょう!

弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/