福祉関係者と弁護士の連携体制について⑩  

~司法ソーシャルワーク~ 

2014年11月10日 17:15 板橋俊幸

弁護士板橋です。

ブログをご覧の皆様は,「司法ソーシャルワーク」という言葉を御存知でしょうか?簡潔にいうと,福祉職と司法職が,相互に専門性を発揮して,個々人の抱える問題解決に取り組むものです。

 

全国的に見て,群馬県は先進的とはいえませんが,徐々に動きが出ております。去る11月1日,群馬県における各専門家(精神保健福祉士,社会福祉士,司法書士,弁護士)の連携体制の構築を目指して,合同勉強会が開催されました。本年2回目になります。

勉強会では,先進的な取り組みをされている,千葉県地域生活定着支援センター所長岸恵子氏,千葉県弁護士会遠藤直也弁護士により,千葉県における罪を犯した障がい者への弁護活動や支援について講演がありました。

 

刑事弁護に携わっていると,障がい者(若しくは,障がい者であろうと思われる方)による犯罪では,刑事事件で対応すべきとは思えないような案件も,刑事手続に乗せられ,支援を得られないまま,再度犯罪を繰り返してしまう案件に出くわします。自分の経験では,摂食障がい者や知的障がい者により繰り返される窃盗行為が多いように思われます。

本来は,刑事罰ではなく,適切な福祉支援によるサポートにより再犯防止・更生を目指すべきなのでしょう。しかし,現在の刑事司法体制では,対応し切れておりません。

我々弁護士の多くは,福祉的なサポートが必要と理解していても,福祉的視点に立った刑事弁護活動が出来ていないのが実情でしょう。

今回の合同勉強会では,多くのことを気付かされました。今後の弁護活動においては,関係機関の方々と協力し,福祉的視点からのアプローチも行おうと決意しました。

 

今後も合同勉強会の開催を重ねることが,群馬県における司法ソーシャルワークの発展に欠かせないと思います。自分も,弁護士として協力していきます。

 

弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/