福祉関係者と弁護士の連携体制について⑥

~介護記録の記載方法・記載内容を見直しませんか?~

2014年06月27日 16:50 板橋俊幸

弁護士板橋です。

先日,弁護士舟木とともに,NPO法人在宅福祉かんわケア大地にて,研修会の講師をさせていただきました。

研修のテーマは「介護現場におけるリスクマネジメント」(舟木担当),「福祉関係者と弁護士の連携」(板橋担当)でした。

通常業務終了後の研修であり大変お疲れさまでした。

 

「介護現場におけるリスクマネジメント」では,特に,介護事故が起きた場合にどのような形で,問題点が顕在化するか,その問題点から逆算して日頃どのように介護記録等の書類作成をすべきか,など普段現場の皆さんが作成している記録の意味を再考していただきました。

シビアな話が多かったので,「ドキッ!」とすることが多かったと思います。

 

次回の研修もお約束いただきました。次回以降は,福祉現場で活躍されている方々と,介護事故トラブルの現場で法的対応をしている弁護士で,相互に記録記載事項のあり方の意見交換をしていきたいと考えております。

 

記録記載の意味を理解し,記載する事項を理解し,その為に日頃の介護をどのように行うべきか?という逆算的思考は,介護の現場の問題点を浮き彫りし,改善を図るために非常に有効な方法になります。

「介護サービス」を提供している方々は,介護のプロフェッショナルです(現場の方に自覚があるか否かは別にして,家族や裁判官からはプロと見られます)。プロであるからには,介護技術や心の通った対応はもちろんのこと,適切な介護記録の作成も極めて重要になります。

 

 我々弁護士は,成年後見人の職務を遂行する際,介護施設等に入所している被後見人の状況を目で確認するのみではなく,介護記録を見せていただくことがあります。これは,被後見人の日頃の状況を確認するためです。しかし,大半の記録からは,被後見人の様子を知ることが出来ません。介護事故が生じた場合に,このような記録を家族が目にしたら,当該事業所の介護状況に不信感を抱く可能性が高いと感じてしまいます。通常の介護技術が高くとも,記録への記載方法が不適切であれば,介護状況を目の当たりにしていない家族等は,記録から状況を推測するしかありません。

 介護関係者によれば,どうして当該記載ではまずいのか?何が望まれる記載ないようであるのか?の研修を受けることがほとんどないとのことです。

 この状況は,福祉関係者と法律関係者の連携が無いことによります。福祉的視点からの記載方法と,法的視点(最終的な訴訟の場における裁判官の視点)からの記載方法は大きな解離があります。どちらの視点が正しいというものではなく,どちらの視点も取り入れて,最善の方法を模索していくべきでしょう。

 

有り難いことに,県内の他事業所においてもリスクマネジメントの研修をさせていただくことも決定しております。今後も同様の研修を各地で積極的に行っていきたいと考えております。

 

介護記録の記載方法について,弁護士の視点を聞きたい,と思われる関係者の皆様,是非ともご連絡をお待ちしております。

福祉関係者の方々が受講される研修では,なかなか弁護士と意見を交換しながら日々の業務に関して,現場の視点・司法の視点の双方の考えをすりあわせていく機会は無いと思います。

我々弁護士としても現場の声を聞かせていただき,より実践的な研修が出来るように努めさせていただきます。

 

弁護士法人龍馬は,群馬県内の福祉関係者とのネットワークを構築することを目標としております。

弁護士との連携をお考えの福祉関係者の皆様,是非,弁護士法人龍馬(電話:027-372-9119)へご連絡をください。

相互に協力して高齢者の抱える問題の解決に取り組みましょう。

 
弁護士法人龍馬 http://www.houjinryouma.jp/