福祉関係者と弁護士の連携体制について26

2020年11月27日 15:30 板橋俊幸

~『ゆずりは学習会』に参加して~

 

 弁護士板橋です。

 先日、栃木県宇都宮市にて、LD等発達障害児者親の会「ゆずりは」にて、『親亡き後の為に、親あるときに備えを考える~成年後見制度の有益な活用方法を知ろう~』というテーマで研修講師をさせていただきました。

「ゆずりは」との繋がりは、一本のメールからでした。メール主は、「ゆずりは」会員のケアマネの方で、昨年度、私が栃木県ケアマネ協会で研修講師をした際の受講生でした。「『先生が気軽に連絡してください』と言っていたので、連絡しました」とのことでした。私は、この様な繋がりが、非常に大好きです。私の方こそ、ご縁をいただき、感謝しております。

 

 さて、研修では、障害者への支援の特徴、障害者支援としての成年後見制度の活用法、今からできる親・家族の取り組み等について話をさせていただきました。

 障害者の場合、以下のような支援の特徴があります。

・長期的な支援が必要である

・自己表現が不得手であり、周囲の者が本人の意思を理解しにくい

・障害の特性に個別性が強く、把握しにくい

・消費者被害の危険性が高い

・親の高齢化による、親への支援の必要性

・親亡き後を引き継ぐ支援者の確保

・適切な財産承継方法  などなど

障害者を取り巻く環境によって、適切な支援がなされる必要があります。

そのための一つの手段として、成年後見制度の活用方法について、皆で考えてみました。

長期的な支援のためには、親族と第三者後見人が複数で後見人に就任したり、法人後見人を確保したりすることが必要となります。そのためには、まず、後見人として支援をお願いしたい第三者と知り合い、本人のことを十分に理解してもらったり、法人後見を受任できる受け皿団体と繋がりを持ったりすることが必要となります。

 

また、親あるときの備えとして、以下のようなことが考えられます。

 ・本人に金銭の使い方を学ばせておく

 ・本人が自分で選択、決定する経験を積ませておく

 ・家族以外の頼れる第三者と繋がりを作り、相談することを学ばせる

 ・家族皆で本人の将来設計を話し合っておく

 ・利用できる(すべき)制度を調べておき、活用する準備をしておく

 ・本人のことを関係者に知ってもらう努力をする

 ・親自身の終活や整理をしておく(遺言等の作成も)

 ・本人の「生活記録ノート」等を作成し、毎年更新していく  などなど

 

 研修では『どのように、障害分野の理解がある弁護士などの専門職と繋がりを作ることができるのか?』という質問が出ました。この質問は、どの研修会でも出ます。

 後見制度活用などを考えた場合、地域の専門職や専門職団体との繋がりがとても重要になります。地域の専門職側から、障害者団体などへのアプローチが必要ですが、まだまだ行われていないのが実情です。

 通常、地域の弁護士会や社会福祉士会には、高齢者や障害者を支援する委員会が存在します。直接、弁護士会などへ連絡をしていただき、ご相談いただければ、障害分野に理解のある弁護士へ繋がることが多いと思われます。是非ともアタックしてみてください。自ら行動することが大切です。

 

 弁護士法人龍馬では、高齢者・障害者の支援に注力しております。

弁護士は、社会資源の一つです。支援者の方々と繋がることで、専門職としてお役に立てることになります。

 本ブログをご覧の支援者の皆様、リアルに繋がりましょう。