福祉関係者と弁護士の連携体制について20

2016年8月2日 11:15 板橋俊幸

弁護士板橋です。

平成28年7月6日(水),渋川市主催の高齢者等安心ネットワーク講演会において,高齢者虐待に関する講演をさせていただきました。

渋川市では,毎年高齢者等の安心ネットワークの講演会を主催しております。

昨年,渋川市における高齢者虐待案件に関わりを持たせていただいたご縁から,今回講演のご依頼をいただきました。

大勢の方々のご参加をいただきありがとうございました。

講演では,弁護士の視点から,高齢者虐待について考察させていただきました。高齢者虐待の現状,高齢者虐待防止法について,私が関わった具体的事例の紹介,そして,最後に高齢者虐待を防止するためにできること,についてお話しさせていただきました。

川崎市の虐待事件のように,最近は,高齢者虐待に関する事件が数多くニュースとなっております。虐待の背景には様々な理由が存在します。虐待自体は当然許されるものではありませんが,加害者を責めたり,罰したりするだけでは,虐待が解消されません。

特に,介護施設における虐待では,施設の体制・体質が大きく影響します。

職場環境を適切に保ち,職員の教育に力を入れ,ご家族との適切な関係を構築できている施設は,虐待は生じず,地域において非常に人気のある施設となっております。

他方で,私が関わった施設での虐待事案では,虐待の加害者となった職員自体の問題よりも,施設自体の体制に非常に問題があると感じました。虐待発生後の対応も杜撰な場合が多いです。

自宅における高齢者虐待では,介護疲れや経済的問題などの背景事情が目立つ印象を受けます。

虐待が無くなることが理想ですが,無くなることはありません。

そうであるからこそ,予防啓発を行い,早期に発見できる体制を作り,地域全体で見守ることが必要になります。

渋川市のような取り組みは,多くの自治体で行われております。これらの取り組みが,より有益なものとなるためには,少しでも多くの方々に高齢者虐待に関心を持ってもらうことが大切です。

弁護士法人龍馬では,高齢者の方の快適な生活のために,医療・介護関係者の皆様とネットワークを作り積極的に連携しております。

高齢者に関わりを持たれている皆様,ご不安なことがあれば,ご相談ください