市民後見養成・支援事業を準備中

小此木清 2011年10月29日 14:18

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おこのぎが,市民後見養成・支援事業を行おうとしているのは,なぜかとの問いかけがありました。


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市民後見人がなぜ必要なのか?後見需要に供給が追いつかなくなること,また,いままでの後見が財産を有している者だけを予定していたのに対し,財産のない認知症高齢者にも後見が必要とされるからです。


つまり,親族がいない高齢者の場合,施設入所契約が締結する必要がある,また死後の事務を処理する必要があるなど,認知症高齢者に代わって,契約手続をする人が求められています。


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さらに,認知症高齢者に寄り添える後見人(特に補助者,保佐人)が,今後求められており,認知症ケアに携わっている方々が,市民後見人として活躍されることで,「後見を必要とする人に後見を!」との標語にもっとも合致することになるでしょう。


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ところで,10月30日の「事前指示書」に関する講演会でも,認知症の方,それを取り巻く家族,看護士,医師の方々の視線から見た事前指示の問題は語られても,看取り介護一つとっても,経済的問題を抜きにしては,お金と余裕のある方々だけの話になってしまいます。経済的基盤があってなんぼの社会であり,適正手続が必要となります。


大多数の市民,社会の共感を得るには,お金も余裕もなく,家族もいない方に対しても,事前指示の問題を提起しなければならないのです。そして,そのためには,公的支援も必要となってくるはずです。


また,終末期,看取り介護に移行するためにも,高齢者本人の自己決定を公正証書作成という手続を経ることで,慣行となり,それが法的拘束力を持つ意思表示と認められてくるのです。


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つまり,市民後見養成・支援も,養成・支援を受ける市民,また,市民後見という情報を多数の市民が受けることで,後見に対する問題意識を共有していく過程と捉えることができます。いままで,専門職(弁護士,司法書士,社会福祉士)が,一人の後見を行ってきても,社会に広がりがありませんでした。しかし,多数の市民後見人を養成支援することで,後見を「社会化」することができるのです。


「後見を必要とする人に後見を!」創り出すことが,高齢者の生活の質を上げることにつながり,ひいては,滞留した地域経済の活性化につながっていくものと考えます。


なぜなら,後見人が,地域に根ざした高齢者の生活を支えるために介護契約等を締結し,地域の介護(食や介護用品の購入,住居のリフォーム等)を有効に活用していくことになるからです。