高齢者問題と信託
2013年2月 8日 17:28
弁護士おこのぎです。
今回は,「高齢者問題と信託」というテーマで弁護士法人龍馬が取り組んでいる内容についてお話しいたします。
第1.信託を利用する~その1「親亡き後の問題」
1.2013年,弁護士法人龍馬は,高齢者の方々に,信託を利用できるように準備しています。
「信託」とは,財産を信頼できる第三者(受託者)に移転して,受託者が自己の固有財産と区別し管理,運用,処分することから生じる利益(受益)を受益者に与えて仕組みです。
2.たとえば,ア.知的障害のある子供をかかえた親は,自分が生きている間は子供のために資産を確保し,その生活を支えていきますが,いざ自分が亡くなった後,誰がその子供の生活を支えていってくれるのでしょうか(いわゆる「親亡き後」の問題)。
イ.ともに人生を歩んできた配偶者が要介護状態になったとき,自分がいる間は自ら介護を行い,蓄えた資産を配偶者のために活用することができますが,自分が亡くなった後,いかに配偶者の生活を維持できるでしょうか(「老老介護」の問題)。
ウ.身体障害ある者も,生活上,様々な面で不便を強いられ,現実的な資産管理等に困難を伴っています。
3.そこで,「信託」の利用拡大が求められているのです。
遺言で財産を遺贈するにしても受遺者となるべき者が自ら財産管理を行うことができないのです。遺言者が亡くなった場合,遺言によって財産を知的障がい者に引き継ぐこと自体は可能です。しかし,せっかく財産を取得した知的障がい者には遺贈を受けた財産を管理する能力が全くないのですから,そういう場合には法定後見制度を利用しなければならないのですが,法定後見が開始されるまでにはタイムラグもあり十分な支援ができるわけではありません。もちろん財産を遺したいと考えている父母が我が子のために我が子を代表・代理して第三者と任意後見契約をするということは可能でしょう。しかし,それまで見守りを行っていない任意後見受任者への引継問題が生じます。これらの問題を解決できる信託は利用しがいがある制度なのです。
第2 信託を利用する~その2「シェアハウス構想」
1.さらに,弁護士法人龍馬が考えている「信託」利用例を挙げてみます。
年齢を重ねていって残された人生も住み慣れた街や地域で住み続けていきたいという想いがあります。その想いを満足させるようなことを「信託」で実現したいと考えています。
2.グループ住宅とかグループキッチンの「シェアハウス構想」です。
「夫が亡くなった後は気心が知れたみんなで仲良く生活しよう」とか,「一人になってしまったら食事を作ったりするのも大変だから,持ち回りで食事ができるようにしよう。」等というものです。
例えば自分には,広い自宅があるがお金はないという人と,自宅はもっていないが預金はあるという人が,それぞれ自分がもっている資産を受託者に委託することによって,グループ住宅を実現することが可能となります。
弁護士法人龍馬ホームページhttp://www.houjinryouma.jp/