情報共有の意味

2012年3月31日13:18

介護事故の対応については,医療問題での関係形成状態が参考になります。 

医療問題では,伝統的で主従的な医療者と患者関係が,情報共有の妨げとなっています。圧倒的な情報・知識的優位性,医療行為上の優位性が医療者の側にあるからです。 

 

すなわち,医療行為について,医療者が患者に対する情報を取得し,その情報を患者が知ることができないという,一方通行の流れが通常となっています。このような関係において,医療事故が発生した場合,患者側は当該医療行為を「知る」ことから始めなければならず,知識が追いつくまでには,医療者に対する不信が生じたり,迷い悩みが起こります。 

 

この医療者に対する不信を招かないためには,介護者と高齢者との関係が,主従の関係を形成するのではなく,双方的な情報交換により,情報を共有して意思決定を行う協働的意思決定関係を形成していくことを促すことが重要です。

このようなことは,可能なのでしょうか。

 

介護行為における安全管理は,介護サービス行為情報を高齢者側に開示するとともに,これに対する高齢者側の理解と判断を構築することにつきます。

たとえば,介護福祉士は,平成24年4月1日から医師の指示の下に,経管栄養(胃ろう)を行うことができるようになります。高齢者は,定期的に確実な栄養補給が可能となり,全身状態が改善します。

 

他方で,この経管栄養実施は,高齢者の胃に注入した栄養分を逆流してしまうケースもあり,これが肺を湿潤化させ,誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。プラス要因だけでなく,マイナス要因もあります。これらは,介護現場で十分説明されているでしょうか?「情報共有」が意味をなし,現実的に日常的に行われれば,介護者側と高齢者側との情報共有による信頼関係構築が,介護事故に対する安全管理に最も有効に作用し,重要な課題が解決する道筋となりえます。