安愚楽牧場に関する最近の報道(3)

星野啓次 2011年11月 7日 17:37

1 民事再生中の株式会社安愚楽牧場に東京地裁から管理命令が出ました。

  

 「和牛オーナー」制度で出資会員を集めていた「安愚楽(あぐら)牧場」(栃木県那須塩原市)の民事再生手続きで、東京地裁は4日、管財人を選任して財産管理にあたらせる「管理命令」を出した。同牧場の経営陣は財産の管理や処分の権利を失う。同日付で管財人に選任された渡辺顕弁護士と、同牧場代理人の柳沢憲弁護士らが明らかにした。今年8月、東京都と熊本県のオーナー2人が「牧場に財産管理を委ねると、被害者に配当すべき財産を損なう恐れがある」として地裁に申し立てた。その後、申立人は5000人超に上った。

 

毎日新聞 2011年11月5日 東京夕刊より

 

 これまでは,安愚楽牧場の経営陣が残ったままで再生手続が進められていましたが,管理命令が出たことにより,今後は,管財人がこれまでの経営陣に代わって会社運営を行い,手続が進められることになります。

 被害者弁護団は,当初より,安愚楽牧場の再生手続につき,破綻に至る経緯や資産・経営状況の不透明性などから,経営者主導の再生手続に関して多くの問題性を指摘しており,裁判所に対して管理命令の発令を求めていました。

 そして,今回,5000人を超える数の委任状の提出のかいもあり,管理命令の発令に至りました。

 今後は,公正な立場である管財人の協力を得て,一層の真相解明が進むことが期待されますし,それにより関係者の責任関係も徐々に明らかになっていくのではないでしょうか。

 なお,ぐんま弁護団は,約60名の方から正式受任を受けております。

 

2 安愚楽牧場,09年には実質債務超過 開示文書

 

 4330億円の負債を抱えて8月に民事再生法の適用を申請した安愚楽牧場(栃木県那須塩原市、渡辺顕再生管財人)が2009年2月、投資家への会計処理の仕方や情報開示が不適切だとして、当時、和牛預託取引(オーナー制度)の監督官庁だった農林水産省から改善指導を受け、事後点検のための定期報告も求められていたことが、消費者庁がこのほど開示に応じた行政文書で明らかになった。

 

日経新聞電子版 2011年11月6日より